エンジンバルブはこんな部品です

エンジンを自動車の心臓に例えると、エンジンバルブは心臓内部にある弁のような役割をする部品です。心臓内部の弁は血液が流れる時に開き、それ以外の時は閉じて血液の逆流を防ぐ働きをします。
エンジンは吸い込んだ空気と燃料を燃焼室内で圧縮・燃焼させることで動力エネルギーに変え、その後、燃焼によって生じた燃焼ガスを排出します。エンジンバルブは燃焼室の吸気口と排気口に設置されており、心臓の弁のように常に開いたり閉じたりして空気と燃料の流入や排気ガスの排出をコントロールしています。

空気を吸い込んだ状態
空気を吸い込んだ状態
空気を吐き出した状態
空気を吐き出した状態

エンジンバルブに求められる性能とは

エンジンバルブは非常に過酷な環境下で使用される部品です。まず筆頭は高温下での使用が挙げられ800〜1000℃の高温に耐えられる強度が要求されます。また開閉する際に動きが非常に早いことが特徴です。例えば時速100kmで走行している場合なら、1分間に1000〜1250回ほどの開閉が行われています。この開閉の過程では、高速でバルブとガイドが激しく擦れ、バルブが閉じる際にはバルブシートとの間に衝撃力、バルブに引張応力が生じます。
バルブにはこの様な厳しい環境に耐え、かつ正確な開閉を実現させる性能を維持することが求められます。
さらに最近では自動車の燃費向上が求められています。
燃費向上に向けては、空気と燃料をある一定の比率にするとよいことがわかっていますが、この方で法は燃焼温度が非常に高温になります。
この様な背景から、エンジンバルブには更なる性能の向上が求められています。

エンジンバルブに求められる性能とは

エンジンバルブはこうして製造されます

バルブの製造は、棒状の素材をカットしたビレットを用いて熱間鍛造で成形します。熱間鍛造とは、高温に熱した金属をプレスして金型成形を行う技術です。そこでおおよその形が出来上がり、この後に砥石による研磨加工を施し所定の寸法に完成していきます。摩擦や衝撃が大きい部位には表面処理や高強度の材料を溶接して耐久性を高め、より精度が求められる部分を研磨し、仕上げ加工していきます。
エンジンバルブは高温での強度が求められるため、耐熱鋼という特殊な鉄鋼材料が使われています。一般的な材料に比べて、クロムやニッケルといった強化元素が多く含めて強度を高めています。そのため、簡単に形を変えることが難しく、鍛造も研磨にも高い技術が必要です。

製造工程の図
製造工程

フジオーゼックスのエンジンバルブはここがすごい

1適切な材料を調達できる

エンジンバルブは高い耐久性・耐熱性が要求されます。そのため、バルブには用途に適した特殊鋼が用いられることが一般的で、材料コストがかかることがネックとなっています。
フジオーゼックスは、大同特殊鋼のグループ企業ですので、高品質の材料を入手しやすく、また共同開発により、今後のエンジン進化に合わせた新しい材料開発も可能です。

材料の画像
材料調達の様子

2生産設備が整っている

フジオーゼックスでは様々な仕様の加工や高い生産性に応えるために自社で生産設備を設計しています。先に説明した通り、エンジンバルブは高強度の特殊鋼を使用しているため、鍛造や研磨には難しい技術が必要です。それら加工を実現させるためには砥石、金型などの選定が重要であり、且つ必要な機能を持った設備を開発することで、高い品質を維持すると共に生産性を高めています。

生産設備を設計している様子
生産設備を設計している様子

3世の中のニーズを解決する技術力がある

エンジンの高性能化に応えるため、さまざま技術開発に取り組んでいます。
1つは中空バルブの開発です。エンジンの燃焼温度が高まるとバルブが熱に耐えられず、寿命が短くなります。中空バルブはバルブの軸の部分が空洞になっており、その中にナトリウム(冷媒)を入れて冷却性を高めることでバルブの耐久性を高めています。
さらに今、鏡面加工の開発に取り組んでいます。バルブの燃焼室側に晒される面を鏡のように磨くことで平滑になり、燃焼室に晒される面の表面積が小さくなるため、熱が伝わりにくく、さらに熱の流れが良くなります。こうして燃焼室内の温度を逃さず、エンジンの燃焼効率を高める技術に着手しています。
バルブ自体の耐久性を高めるとともに、バルブによってエンジン効率を高める、という2つの技術 に注力して、これからの自動車に貢献しています。

バルブの画像
通常バルブと鏡面バルブ

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