業績について
2023年3月期第2四半期の決算と通期の業績予想の修正を発表致しました。詳しい業績、業務進捗の内容につきましては決算説明会動画をご参照願います。
この上半期の自動車生産は引き続き半導体不足問題によって低迷しましたが、年初の想定の範囲ではあり、拠点ごとのバラツキはありますが全体では数量ベースで概ね計画並みの受注が確保できました。しかしながらロシアのウクライナ侵攻に端を発する資材・エネルギー価格の上昇が発生したところに急激な円安が追い打ちをかけ収益が圧迫されております。
このように大変厳しい経営環境のなかではありますが、計画した生産性改善・原価低減を推進し、なんとか計画どおりの売上・営業利益の結果を残すことができました。
下半期におきましては年初想定になかった円安による収支影響が大きく、特に電気・資材等の更なる値上がりが見込まれます。企業努力での吸収は困難な状況のなか、お客様への売価転嫁について交渉を行っておりますが、ご理解を得られたとしても半期程度の時期ずれが生じますので収益的には大変厳しい状況です。当初計画に追加の原価低減を積み増し、年初計画どおり昨年度海外子会社が15ヵ月決算となった影響分を除いた実質の業績として前期比増収増益を目指してまいります。
太陽光発電について
昨年度グループ全体で1,400kWの発電を開始しましたが、電気単価の高騰を受け可能な限りの計画拡大、前倒しを進めており、2023年5月までに更に5,000kWの追加設置を目指しております。これらが全て稼働した場合の年間総発電量としては約7.5百万kWhを見込んでおります。
新規事業開発について
M&Aの取り組みとして昨年より継続している案件募集と絞り込みの結果、有望と判定された企業について、相手先とのコンタクトを開始しました。年度内最終合意1件以上を目標に鋭意推進してまいります。
またデイケア事業の拡大にも取り組んでおりまして、こちらも具体的な案件が固まりつつあり、詳細が決定しましたら報告させていただきます。
社業について
当社は1952年の創業以来、輸送機、産業機械、農機、発電機、船舶などあらゆる内燃機関を製造するお客様に吸気、排気用バルブとその関連製品を供給してまいりました。その間独自の高機能バルブ開発に加え、親会社である大同特殊鋼株式会社とも連携した材料開発、工法・検査技術開発などにより、高度化するお客様のニーズに応えて内燃機関技術の向上を支え、産業基盤の発展に貢献してきたと自負しております。
国として宣言が出されたカーボンニュートラルへの対応として電気自動車への移行が喧伝されておりますが、現在の電源構成において電気自動車はCO2フリーではありません。日本、中国を含め多くの地域でLCA(製造-使用-廃棄トータル)での電気自動車のCO2排出量はガソリン車・ディーゼル車を上回っています。これはバッテリー製造時に多量の電力が必要で、火力発電比率の高い電源構成の国(日本0.55kg-CO2/kWh,中国2020推測値0.691kg-CO2/kWh)ではむしろCO2排出が増加してしまうことにより、電源構成を低CO2排出化する前に多量のバッテリーを生産することは地球温暖化を促進していると言えます。またバッテリーには希少金属が必要で、昨今のブームによって資源価格の高騰が発生しております。
現在のバッテリーのエネルギー密度は400Wh/kg程度で、次世代では1,000Wh/kgを超える電池が期待されていますが、例えば液体燃料の≧10,000Wh/kgという高エネルギー密度とは比較になりません。物を運ぶということにおいて重量は大変重要なファクターで、貨物と合わせて重いバッテリーを運ぶのはとても非効率であり、実際に例えば荷物運搬用ドローンは内燃機関利用のものが開発されつつあります。このように一定の領域において内燃機関の活用は今後とも必要と思われます。しかしながらそのための燃料は化石由来から脱却する必要があります。最近ようやくバイオエタノール、メタネーション、e-fuel、水素エンジンなどのキーワードに象徴される代替燃料の議論がなされるようになり、複数の日本カーメーカーが参画するバイオエタノールの研究組合が立ち上げられました。レース界ではインディカー・シリーズは2023年度より、またF1は2026年度より使われる燃料は100%持続可能燃料となるようで、この燃料は現在走行している全てのガソリン車で使用可能と言われています。このように代替燃料についての具体的な取り組みが始まっており、今後輸送機器における脱炭素は電動、そしてカーボンニュートラル燃料を使用する内燃機関の合わせ技で達成されていくものと考えられ、当社もすでにお客様との共同基礎開発を始めております。当社の本業においては今後も引き続き予想される燃焼技術や燃料の変化に備え、先読みによるシーズ開発によって引き出しを充実させ、短期化する開発期間においてもご満足いただける提案でお客様のご要望に応えていく所存であります。