代表取締役社長辻本敏

業績について

 2025年3月期通期の決算を発表致しました。日系カーメーカーの1-3月国内販売は前年比+14%とようやく認証問題からの回復がみられました。中国向けはマイナス1%と下げ止まり感が出ています。北米販売については3月関税前の駆け込みが発生したのか単月では前年比+9%で、1-3月合計でも+3%となりました。当社の販売も順調に推移し、また原価低減活動も計画以上に進んだことから、3月に修正した業績予想を売上・各利益ともにクリアすることができました。期末円ドル為替が想定よりも円安となったこと、メキシコペソドルが若干のメキシコペソ安ですんだことなどから売上、営業・経常利益が上振れしましたが、純利益については織り込んでいた火災保険金の査定決着が翌期にずれこんだため上振れ巾が縮小しております。

2026年3月期業績予想について

 アメリカのトランプ大統領の関税が完成車については4月より、また自動車部品についても5月より発動されておりますが、一方でアメリカ国内生産車については一時的かつ部分的な部品関税の軽減措置も発動されています。日本との交渉を最優先に行うとのことですが、どのような形で決着するのか現時点では全く想定不能です。そこで次のようなマクロ的な前提をおいて影響の試算を行いました。
 2024年度米国向け日系車販売台数588万台で、この内米国内の日系大手5社の生産台数は326万台(55%)で残り262万台は日本、メキシコ、カナダから輸入されていると考えられます。輸入車262万台の原価率が80%の場合、関税25%を全額価格転嫁すると末端販売価格は20%アップとなります。一般的な新車の価格弾力性は-0.6~-1.0、高級車は-0.3~-0.7と言われております。日本からの輸出は高級車が多いのですが、一番影響を高く見て価格弾力性を-1.0とした場合の需要減少は-20%となります。アメリカ国内生産の日系車についても部品を輸入しておりますので価格上昇があるものと考えられます。部品関税軽減措置も織り込んでこれを6%アップと置きますと部品需要も-6%減少となります。当社のバルブが各お客様でどのように使用されるかを細かく洗い出し、完成車やエンジンに組み込まれて米国に行く場合売上-20%、部品で輸出され米国内で組み立てられる場合売上-6%として売上、利益影響を算定しました。
 次に為替です。ドル円は関税により経済の不透明感が高まったことから、安全資産として円が選好されたのか4月に入って急激な円高が進行し、その後現在は少し円安方向に戻しています。この先円高が進むのかそれともゆり戻すのか誰にも分からないことですが、当社にとって不利な円高がもう一段進むと想定して影響を織り込むこととしました。メキシコペソドルについてはドル安環境でそれを上回ってメキシコペソ安が進むとは考えにくいため未織り込みとしました。
 なお今回の経済・市場の混乱が大規模な世界的不況に繋がる可能性も否定できませんが、想定外として業績予想には織り込んでおりません。
 関税影響がなければ中期最終2026年度の売上・利益計画を一年前倒しで達成することも期待できたところですが、上記の影響織り込みで売上高は中間年である2025年度中期計画に届きませんが2年連続の最高記録更新、営業利益は2025年度中期計画値をクリアする予想としています。但し説明申し上げましたとおり、大変ラフな前提となっており今後の日米交渉次第でかけ離れた市場環境となるリスクがありますことをご承知おき願いします。

 以上報告申し上げます。株主の皆様におかれましては何卒ご理解を賜り、変わらぬご支援をお願い申し上げます。

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